ポスター展のこと
2018-02-15

【パネルディスカッション】大垣まつりの魅力を活かすデザイン〜ポスターは観光客誘致に役立つか〜

2018年2月10日、岐阜経済大学内にある日本国際ポスター美術館で「大垣まつり世界のポスター展」のパネルディスカッションが開催されました。

タイトルは「大垣まつりの魅力を活かすデザイン〜ポスターは観光客誘致に役立つのか〜」。

岐阜経済大学教授の竹内治彦先生のコーディネートのもと、堀冨士夫さん(大垣まつり世界のポスター展実行委員会委員長)、浅野準一郎さん(本町出軕育成会相談役)、松本正平さん(元気ハツラツ市実行委員会委員長)、加藤由朗さん(グラフィックデザイナー)がパネルディスカッションを繰り広げました。

1996年に設立された日本国際ポスター美術館は“視覚言語の国際様式の確立”と“明晰なビジュアルコミュニケーションの大垣から世界への発信”を目的に活動しています。

「日本国際ポスター美術館は、地域の方々、企業の方々、事務局の方々の皆さんのお力によって育まれている。だから美術館としてもぜひ街に貢献していきたい。」と、同館館長でもある堀さん。

「大垣まつり世界のポスター展」にはヨーロッパ、アジア、アフリカなど50カ国のデザイナー205名から応募がありました。

特に今回、応募された世界中のデザイナーにとって魅力だったのが、入選した50作品はユネスコ無形文化遺産に登録された本美濃紙、岐阜の郡上八幡発祥であるシルクスクリーンを使用して印刷されるということ。

こちらがシルクスクリーンの版の一部です。1枚のポスターを制作するのに数枚の版を使用し、ポスターが仕上がります。

一般にポスターを印刷するときに普及しているオフセット印刷と違い、ポスターに刷る1色1色を職人さんが目で確かめながら、印刷していく大変な作業。そのお陰で、それぞれの色がとても鮮やかに印刷されます。

会場に駆けつけた大垣市の小川敏市長は「一昨年の12月にユネスコ無形文化遺産に登録された大垣まつりと本美濃紙との2つのユネスコがコラボして成り立っている。文化遺産を世界にアピールするいい機会だと思います。」と話されました。

ご自身のご実家が紙屋だということもあり、祭りも紙も、伝統をしっかりと保存し、独自の文化を大切にしていき、担い手不足の問題を解決できるような賑わいをつくっていきたいという想いを持っていらっしゃいます。

続いて、元気ハツラツ市の実行委員長であり、大垣の商店街で薬剤師をされている松本さん。

「ポスターは街に似合うので、今回のポスター展を通じて駅前商店街としてすべての店舗にポスターを展示したい。大垣まつりと関わり、街の伝統と賑わいを創出して商店街の再生を頑張っていきたい。」とお話しくださいました。

「大垣まつりはひとつの町内だけでやっているわけではなく、昔から町内を助けてくれるたくさんの人で成り立っています。軕(やま)を引く人は公募で募集しているのも他の祭りにはない特徴です。」と浅野さん。

現在、本町出軕育成会相談役や、相生軕の再建委員会の委員長をされている浅野さんは、大垣まつりのことなら何でもご存知です。

みんなの手でつくりあげてきたのは、軕を再建するときも同様でした。

370年の歴史を持つ大垣まつりは、過去に3回、一部の軕が焼失しています。戦争や水害で失われた軕を再建するだけでも最低35年はかかるのだそう。それは、みんなで考えながら作っていくから。みんなが納得するまで話し合いを重ねるので、時間はかかりますが、その分手を抜くことはありません。

そんな想いのこもった軕を日本のみならず世界中の多くの方に実際に見ていただきたいと浅野さんはいいます。

グラフィックデザイナーの加藤さんは、実はポスター展に関わるまで大垣まつりも本美濃紙のことも知らなかったそうです。

初めて祭りを訪れた時に、人の多さと屋台の賑わい、軕の迫力に圧倒されたといいます。

実は一昨年に、大垣まつりと本美濃紙を見るために、フィンランドからわざわざ来日した方がいらっしゃいました。

彼を案内する時に初めて祭りと本美濃紙の文化の本当の良さを知ることができたという加藤さん。

その時に、和紙や祭りは世界にもっと誇っていいものだと再認識したそうです。

ポスター展が世界との架け橋となり、国境を越えて広がっていくであろう大垣まつり。

観光客誘致に対するポスターの役割に期待が膨らみます。

 


大垣まつりの魅力を活かすデザイン〜ポスターは観光客誘致に役立つか〜

日時:平成30年2月10日(土) 13:00~15:00

会場:岐阜経済大学4号館1階 4101教室

コーディネーター
竹内治彦氏(岐阜経済大学教授)

パネリスト
浅野準一郎(本町出軕育成会相談役)
加藤由朗(グラフィックデザイナー)
松本正平(元気ハツラツ市実行委員会委員長)
堀冨士夫(大垣まつり世界のポスター展実行委員会委員長)

住所

503-8550

岐阜県大垣市北方町5丁目50番地

岐阜協立大学内

開館時間

10:30a.m.-4:00p.m.

休館日

原則として、土・日・祝日、展示切替の準備期間

※岐阜県西美濃地域に暴風警報が発令されますと、ご利用の皆様の安全確保のため、その時点から臨時休館となりますので、あらかじめご了承ください。