第4回全国高校生ポスターコンクール 2005.8.21(Sun)-9.1(Thu)
4th Highschool student poster contest (Domestic)

●ご挨拶

日本まんなか共和国文化首都事業の一つとして全国高校生ポスターコンクールが発足して以来、早や4回めを迎えるに至りました。今年も千名をこえる多くの皆さんのご応募をいただき、心からの感謝を申し上げます。
今回は、今までと替わり、新しいテーマ(大切なもの)でお願いしましたが、いつもながらの皆さんの豊かな想像力に改めて感じ入った次第です。
ところで、私どもは日ごろ「ポスターはアートだ」という基本的認識のもとに、その収集や展示を行っていますが、皆さんは、今後とも変わらぬポスターへの関心と正しい理解を持ち続け、さらに豊かな想像力とそれに基づく創作・創造こそがアートの基本ということを実践していただきたいと強く願うものです。
ご応募いただいた各校の先生方には、随分のお手数とご苦労をおかけしていますが、ご協力に対し、厚く御礼を申し上げます。終りに、高校生の皆さん、そして先生方に、今後とも変わらぬご支援をお願いして簡単ですがご挨拶とさせていただきます。

2005年8月
全国高校生ポスターコンクール実行委員会 委員長
大迫輝通

●審査を終えて

ポスターはその国の文化を表象し、未来を語るものである。
現在、世界で国際的なポスターコンクールは、ポーランドをはじめ、10カ国以上で開催されているが、イランもその国のひとつである。イランはアメリカから非民主化の悪の枢軸国のレッテルを貼られ、経済制裁を受けているが、私がイランで見たものは宗教上における文化の違いが大きく、欧米の民主主義を一方的に押し付けることは、その国の文化の否定につながり、抵抗や反抗を招く心配がある。また、イランポスターを通して見えてきたものは、アラブ諸国の中で、イランのアイデンティティを模索している姿といえる。イランは国際社会において孤立化を望んでいる訳ではない。彼らは古代ペルシャ文明やイスラム文化に誇りをもっている。
近代ポスターはその時代の影響を受け、「時代の鏡」とか「時代の証人」と言われてきたが、現代ポスターは、アートでありメッセージであることを積極的に示し、大量消費社会に警告を発し、文化力としての役割が期待されているといえる。
第4回目を迎える高校生ポスターコンクールの応募点数は、昨年並の1,184点であったが、高校生や指導される先生方のポスターに取り組む意欲や熱意が昨年以上に強く伝わり、選考する難しさに直面した。審査員間で激論が戦わされ、高校生ポスターコンクールの意義を再確認する場面もあった程である。
年々コンピュータ・グラフィック作品が増える傾向にあるが、コンピュータ・グラフィックに頼った作品ではなく、コンピュータ・グラフィックでなければ表現できないようなアイデア、発想が求められる。しかし、コンピュータ・グラフィックは、今まで美術嫌いで自己表現が下手だと思っている高校生を開放することが期待される。また、手描きの場合でもコンピュータ・グラフィックではない手描きとしての表現力が求められ、その中に文化性も要求される。表現力における文化性とは、ひとつは伝統や地域に根づいた表現力の再発見であり、それを表現の中に活かすことである。
最優秀賞を受賞した神谷紘志の「へこんだキミは投げ捨てて走り出せ」はコンピュータ・グラフィックの作品で、特にアイデアや技術力に優れているとは言えないが、コピーとコンピュータ・グラフィックの表現が一体となって高校生の等身大のコミュニケーションとして仕上がっている。落ち込むことや傷つくことに負けないで、前を見て走り出そう、そして、悔いのない高校生活を送ろうという連帯のメッセージが伝わってくる。優秀賞の牧田侑紀の「私たちは薪より重いものを背負っているのか」は手描きの力作で、環境問題を正面から捉えようとしている。二宮金次郎が酸性雨で溶かされ森林が枯れていく有り様を表現して、直接的に見る人に訴える。一方、本山恵美の「Working MAMA」は働くお母さんをテーマに、男女共同参画社会の実現によって生まれる新しい社会を、音楽が流れるように楽しく表現している。竹内薫の「ケータイでは伝え切れないからー」は、今の高校生の断面を表現している。本当の自分を伝えるには、携帯電話では伝えれないので、日頃から人と人の直接的なコミュニケーションを大事にする必要があるというメッセージが込められている。
馬場孝樹の「Happy memories of one’s childhood」は大人へのメッセージでもある。誰もが経験した少年時代の楽しい記憶を思い出せば、そんなに肩をはらなくても生きていけるのでは、と懐古的ではなく前向きなメッセージとなっているところが良い。
浮世絵が江戸庶民の文化であったように、ポスターも日本国民の文化として認められる日が近い。そして、ポスターが日本の文化力のひとつとして果たす役割は大きい。最後に指導された先生や応募された高校生の努力に賛辞を送るとともに、このポスターコンクールが名実とともに「ポスター甲子園」として発展するために、今後ともご支援をよろしくお願い致します。

日本国際ポスター美術館ディレクター
金沢大学教授
松浦 昇

●事業報告

ありがとうございます。
7月9日、猛暑の中、7名の先生方による審査会が行われました。
めでたく入賞された方々をご報告致します。

○最優秀賞
神谷紘志(岐阜県立岐阜工業高等学校)

○優秀賞(4点)
牧田侑紀(兵庫県立香寺高等学校)
竹内薫(兵庫県立香寺高等学校)
馬場孝樹(佐賀県立有田工業高等学校)
本山恵美(佐賀県立有田工業高等学校)

○奨励賞(20点)
片田裕美(富山県立高岡工芸高等学校)、鵜沼淳(埼玉県立大宮光陵高等学校)、斉藤千秋(静岡県立伊東城ヶ崎高等学校)、中田彩(静岡県立伊東城ヶ崎高等学校)、北村卓也(岐阜県立大垣北高等学校)、田内美有(岐阜県立大垣北高等学校)、飯沼美月(岐阜県立大垣北高等学校)、大野将成(岐阜県立本巣松陽高等学校)、谷口英成(石川県立大聖寺実業高等学校)、石塚綾海(石川県立大聖寺実業高等学校)、田嶋幸恵(滋賀県立湖南農業高等学校)、渡邉有希(岐阜県立岐阜工業高等学校)、倭由記(岐阜県立岐阜工業高等学校)、小杉充佳(兵庫県立香寺高等学校)、御領原暁美(兵庫県立香寺高等学校)、得永しおり(兵庫県立香寺高等学校)、水野裕介(岐阜県立大垣工業高等学校)、竹部光(岐阜県立大垣工業高等学校)、白木佳威(岐阜県立大垣工業高等学校)、赤田幸弘(滋賀県立伊吹高等学校)

○入選(231点)
愛甲真弓、青柳允、秋田麗、浅野朱理、浅野俊樹、阿部美由紀、網元沙也加、雨坂奈美、荒木阿弓香、碇屋絢子、石井麦、石川文香、石塚友理、伊丹大貴、板谷南、市井沙也加、市橋弘教、井出成美、伊藤季里、伊藤宗器、伊藤千晶、伊藤寛之、伊藤ゆう日、伊藤佑馬、伊藤由希、井上順一、井上結維、衣斐翔太、岩永明美、岩脇大、植木真梨恵、上田深奈世、上野孝行、宇田須あや、宇津あや子、江幡祥朗、大家綾華、大北茉耶、大迫恵美、大橋健人、大橋泰斗、大山梓、岡ア梓、岡田卓馬、岡田真弥、岡村昌哉、岡本知子、岡本由紀乃、岡山愛、小川あゆみ、奥山絵梨子、小田晃成、小野恵里奈、尾上源二、面家麻実、甲斐陽信、海尾宏美、葛西さくら、加島汐織、春日井里奈、加藤彩香、加藤裕樹、金澤友紀、加納知明、上地麻央、河合歩、河合惟、川壁美保、川口千絵、川嵜有珠加、川瀬真、川地大輝、川西舞、菊地雄太、北村拓、北野智也、北村有紀、北山夏紀、北山陽子、木方綾野、久賀郁恵、窪田将人、黒川裕未、黒木未来、黒木華子、黒田有希、小池紗璃菜、小泉明日香、小岩達郎、高野由貴、児島安里、小島大祐、兒玉明里、小寺孝典、古藤浩邦、後藤佳織、五藤由衣、菰原涼太、小林弘幸、小林恵美、小林優姫、近藤利行、近藤真記子、近藤亮志、齋藤幹枝、坂口真佑佳、坂本浩美、坂本麻里亜、ア邉総師、崎山香奈、左子杏奈、迫本明恵、佐々木春菜、笹本彩香、定兼愛里咲、佐藤圭祐、佐藤芽衣、佐藤蓉子、佐野亜由美、佐野貴洋、三條海、柴田一喜、篠田亮輔、志村亜希子、志村萌、下田望未、下向智美、下山陽子、重黒木阿弥、重野加南子、杉本佳香、杉山夕季、杉山諒、角倉三寿寿、関谷仁美、関森貴子、関谷まどか、宗宮慎吾、木大輔、田充希、高田芽衣、橋絵美、橋美帆、高橋里栄、竹内香織、竹上裕基、武島愛理、武田奈津実、田代元、田島梨絵、多田光希、巽遥菜、田中伯実、田中裕之、田中梨紗子、棚瀬允数、谷川由記、谷口奈々恵、玉利裕美、田村隆行、朝ティリ、辻岡穂奈美、辻本紗千子、黒葛原咲季、津野沙織、角川淳也、寺倉啓太、寺田瑛美、寺本綾、寺本詩織、富樫恒作、土岐尚弘、栩内まあこ、殿村弘輔、殿山美里、豊田彩央理、冨田千春、冨永ひろか、中井仁美、中居悟、中井蓉織、中尾茉衣子、中川和馬、中川久美子、中島茜、中島由佳、中島真理、中塚久美子、中西千晴、中原萌依、中村沙紀、中山琴美、長尾航、長岡真央、永松裕人、那須美代香、七里真司、楢山薫、西口洸太、西嶋新、西谷夕香、西出奈津美、西平愛、西脇崇裕貴、野島李香、野瀬好恵、野原広貴、野間田梨恵、野村佳世、野村孝徳、橋田愛世、橋場成美、橋本明日香、橋本優香、長谷川知加、長谷川瞳、服部里美、原恵里奈、原久恵、原口恵巳、馬場晴華、林清加、坂将志、東裕輝、東口早希、樋口陽介、飛田睦美、日比貴文、日比野弘貴、平林明日美、廣瀬曉彦、廣野羽瑠果、福島愛美、藤井香、藤田あつき、藤田亮治、藤墳弘昌、藤原諒哉、藤本妃奈子、藤原綾野、古川麻美、宝泉優子、外尾夏美、保久上舞華、堀田絵美、堀田匠人、堀田秀樹、堀菜津希、前川満、前嶋陽子、前田裕里、牧原弘明、松井隆晃、松井麻美、松田千明、松田茉莉、松久峻也、松間貴子、松本知世、松本啓範、松森巳奈、松山紗貴、眞野亜沙美、馬淵容子、丸野友貴、丸山洋一、三島達矢、水谷和浩、水谷幸弘、水野真治、南川佳予、三松由布子、宮川尚真、宮口依子、宮ア香澄、宮ア千絵、宮田紫織、宮田康弘、宮原智奈美、宮本夏菜、三好鮎美、三輪智香子、武藤はるか、村井智香、村岡佑輔、村瀬高教、村瀬真奈美、村田晋平、持田咲季、森友美、森尾茉実、森里実千代、森田早也香、森本友樹、八木瞳、安井優佳、谷津舞、矢野早織、薮越拓也、山内聡、山岡亮太、山口真里英、山ア慎司、山下翔太、山田明須香、山田なつ実、大和竜二、山村真依子、山本彩加、山本翔太、山本千尋、山本浩之、横山昇平、吉田光成、吉野麻里奈、吉本香奈、吉本麻奈美、米田円、渡邊亜理沙、和田郁恵、和田唯

○学校賞受賞校
滋賀県立彦根工業高等学校、岐阜県立大垣工業高等学校、岐阜県立本巣松陽高等学校、夙川学院高等学校、滋賀県立伊吹高等学校、岐阜県立大垣北高等学校、和歌山市立和歌山商業高等学校、静岡県立伊東城ヶ崎高等学校、佐賀県立有田工業高等学校

◇都道府県別作品
北海道(2点)、福島県(10点)、神奈川県(22点)、埼玉県(41点)、茨城県(1点)、富山県(22点)、石川県(19点)、福井県(30点)、愛知県(50点)、岐阜県(331点)、静岡県(56点)、三重県(31点)、大阪府(3点)、兵庫県(141点)、京都府(1点)、滋賀県(265点)、和歌山県(61点)、福岡県(2点)、岡山県(21点)、佐賀県(32点)、長崎県(2点)、熊本県(3点)、宮崎県(40点)合計1185点

残念なことにイラン「戦争」はまだ続いています。そして戦後60年。この中での第4回目のコンクール。北東アジアの非核構想が語られる時代です。過去の歴史を直視し戦後の総括を問われる今だからこそ、高校生の、地に足をつけた熟慮・表現が大切だと思います。自分がどう思うか・自分がどう生きているか、より身近なところからアプローチされている作品が今年は目立ちました。大切なもの・大切なこと、それを見出し、それを守る・育てる。
ひとりひとりの高校生が、それぞれの夢に挑戦できる社会、もっと平和で自由な社会が存続いたしますように。そのために私たちに今できることを今やろう。審査会に一堂に並んだ全作品を前に熱い思いが込み上げてきました。
「大切なもの」を問い直し作品を制作してくださった1,185名の皆さん、真摯なご指導を賜った諸先生方、そしてご援助賜りました企業様・行政の皆様に心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。

事務局長/堀 照雄