第13回全国高校生ポスターコンクール 2014.8.23(Sat)-8.31(Sun)
13th Highschool student poster contest (Domestic)

●「ポスターとは何か?」が、今、問われている。

 「ポスターとは何か?」が、今、再び、問われています。それは、ポスターの本質と深く関わっていることですが、ポスターは、表現スタイルにおいて、紙に印刷された複製であるという認識が、今、崩れかけようとしています。つまり、インターネットを通じて、Web上のポスターは、ほとんどCGで作成されデータ化されて、簡単に送ることができますが、Web上では、ポスターの紙の大きさや表現されたテクニック、印刷されたマチエールが解りません。そして、時間やアニメーション表現が入ってくれば、今までのポスターという表現スタイルが大きく崩れることになります。また、ポスターコンクールにおいて、それが審査の対象となれば、一時的に混乱が起きることが予想されます。しかし、紙に印刷されたポスターとWeb上のポスターは、いずれ共存することになると楽観的に考えています。つまり、時代が変化しても、「ポスターは、アートでありメッセージである。そして、その国の文化を表象している。」ということは、変わらないからです。

『第13回全国高校生ポスターコンクール』に、1,241点の応募がありました。その中から、最優秀賞・1点を選ぶことは大変なことで、毎回、頭を抱えています。国際的なポスターコンクールは、テーマはほとんど自己が決め、斬新な発想、アイデアや表現力が求められますが、この高校生を対象としたコンクールは、まず、決められたテーマに対して、高校生らしいアプローチ、アイデアから、それに相応しい表現力が、審査の大きなポイントだと思っています。

 最優秀賞・鵜飼天子の『日常絆図』は、子供たち、夫婦、サラリーマンら人間が、まず、社会の中で協力して助け合うことによって「絆」を築く大切さを、画面いっぱいに描かれていて、ひとり一人の動作も違っていて楽しい表現となっています。親の子供虐待や、中・高のいじめ問題、認知症者の居住不明問題、残酷で理不尽な殺人事件等、今日の社会を取り巻く問題を、「ひとりじゃないから乗り越えられる。」というコピーと楽しいイラストレーションによって、見る人に連想させ、気づかせ、考えさせる作品です。市長賞・田中萌々の『おかえり』は、簡潔で明快な表現で、見る人に、犬と飼い主との絆が、強く伝わる作品です。教育長賞・江口裟季の『共に生きる』は、人間と動物、そして、自然との絆、つまり、共生の必要性を伝える作品です。岐阜経済大学長賞・桜井万里明の『By bonds of love』は、 「人は絆によってつながれていく・・・」というコピーが示すように、親、兄弟、祖父母、友人、そして、他人らとの繋がりは、愛(人類愛)に基づく絆によるところが大きいと伝えている作品です。

優秀賞は4点で、古内駿祐の『また、行こうよ』は、幼児が描いたと思われる絵「パパとさんぽ」が、明確なメッセージを送り、コピーの「また、行こうよ」は、絆を深めたい作者の気持ちが、うまく表現された作品です。大谷彰美の『綱』は、絆は太くて丈夫な綱のように、強く結ばれるものであると、簡潔に力強く伝えた作品です。木口芽衣の『繋がってつくられる』は、絆は、パズルのピースのように繋がってつくられるものであると、繋がることの大切さを、素直に伝えた作品です。高岡波留希の『笑顔』は、笑顔によって絆がうまれると伝えていますが、描かれているイラストレーションから、笑顔は象徴的に表現され、今日の社会の中で、笑顔であり続ける難しさを、読み取ることができる作品だと思います。

ポスターは、イベントや行事が終われば、必要とされなくなるものではありません。どうして、美術館や図書館、博物館でポスターが収集されているのでしょうか。どうして、現在、世界の20数都市で、国際的なポスターのコンクールや招待展、企画展等が開催されているのでしょうか、では、この全国高校生ポスターコンクールに応募されるのは、ただ、コンクールで評価されたいことだけでしょうか。確かに評価されることで、高校生が自信を持つことは良い事だと思います。しかし、評価されることよりも、ポスターと向き合い、自己を見つめ直すことができれば、次へ繋り、評価はいずれついてくるものだと思います。指導されている先生方は、もっと深く、いろいろなことを考えられ、生徒の人格形成に腐心されておられることでしょう。ポスターと出会うことは、自己を見つめ、社会を見つめることであり、素晴らしい1枚のポスターとの出会いによって、あなたの人生を変えるかもしれません。そんな出会いを期待して、審査をしています。

松浦 昇(審査委員長・金沢大学名誉教授)